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第3回:関連意匠とは?シリーズでデザインを戦略的に守る方法

2025年10月20日 | ブログ

「同じコンセプトで複数のデザイン案がある。どれを出願すべき?」――そんな時に役立つのが関連意匠の活用です。まず、本体となる意匠(基礎意匠)を軸に、似たデザインを別出願として段階的に保護できます。さらに、シリーズ展開や年次改良が前提の製品とも相性が良く、模倣対策とブランド統一の両立に有効です。


関連意匠とはの基本(まず押さえる要点)

  • 基礎意匠に類似するデザインを、同一出願人が関連意匠として登録できる仕組みです。
  • 改正後は、関連どうしの連鎖(本意匠 → 関連A → 関連B …)も可能になりました。
  • 出願できる期間:基礎意匠の出願日から10年以内です。
  • 存続期間:満了日は基礎意匠の出願日から25年であり、各関連の出願日ではありません。

制度の定義や運用の全体像は、特許庁「関連意匠制度」の解説が分かりやすいです。なお、図面作成や審査の考え方を詳しく知りたい場合は、意匠審査基準も参考になります。

どんなときに使う?(つまり活用シーン)

  • 同一シリーズ商品(例:化粧品ボトルのキャップ形状違い、ラベル違い)を守りたいとき。
  • 年次改良・派生モデルを段階的に登録し、シリーズ全体を一貫して保護したい場合。
  • 一方で、模倣リスクが高い製品については、あらかじめ関連意匠として先手を打つのが有効です。

出願・運用の実務ポイント(さらに深掘り)

  1. タイミング設計:基礎意匠の出願日から10年以内に計画的に追加出願を行います。つまり、ローンチ計画や改良サイクルに合わせて、年次で「追加出願枠」を確保しておくと安心です。
  2. 同一出願人要件:母体となる意匠と関連は同一出願人が前提です。したがって、譲渡や共同出願の場合は名義の整合に注意しましょう。
  3. 連鎖の設計:関連どうしの類似でも登録可となりました。したがって、シリーズ全体の「類似関係」を設計図にし、抜け漏れを防ぐことが大切です。
  4. 基礎との関係管理:審査では基礎意匠の登録状況や類似関係がチェックされます。つまり、家系図のように「基礎」→各関連の関係を整理しておくと、後の確認がスムーズです。
  5. 満了日の把握:満了は基礎の出願日から25年であり、関連の出願日基準ではありません。つまり、最後の関連意匠だけ長く残るわけではない点に注意が必要です。

図面・先行意匠の確認(なお見落としがち)

言い換えると、図面の“差異の出し方”と“類似の一貫性”が評価の鍵です。さらに、先行意匠を把握しておくと、重複や拒絶リスクを回避できます。検索には、J-PlatPat(意匠検索)が便利です。

事例でイメージ(たとえば)

  • 化粧品ボトル:胴部は同様で、キャップ形状エンボスパターンラベル窓形状を変えた派生を段階的に登録。
  • スマートフォン:カメラ島の輪郭、ボタン位置、ベゼル幅の違いなどをカバーし、統一感を保ちながら差別化。

よくある落とし穴(だから要注意)

  • 期間切れ:「基礎意匠の出願日から10年」を1日でも超えると、関連の出願はできません。
  • 属さない派生:シリーズ内で類似が言えない形状差は関連にできません。したがって、主要な変更軸(正面輪郭・断面形状・装飾パターン等)を事前に整理しておきましょう。
  • 満了日の誤認:関連の満了日は各関連の出願日基準ではないため、誤解しやすい点です。

前回までのおさらい・関連記事

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まとめ(したがって、計画が要)

この制度は、シリーズ製品の「次の一手」を見据えた守りの布陣です。したがって、発売前後の改良やバリエーションを見通して、10年のウィンドウを戦略的に活用しましょう。さらに、早めの設計と調査で「後から守れない」リスクを防ぐことができます。


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