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拒絶理由通知とは?特許審査で指摘される理由と対応のポイントを弁理士が解説

2025年10月11日 | ブログ

特許を出願した後、特許庁から「拒絶理由通知」が届くことがあります。これは、出願内容に対して「このままでは登録できません」という指摘を行う文書です。初めて受け取ると驚くかもしれませんが、実はこの通知をどう活かすかが、特許を成立させる大きな鍵になります。

本記事では、拒絶理由通知の基本的な意味から、よくある指摘内容、そして対応のコツまでを、弁理士がわかりやすく解説します。

  1. 拒絶理由通知とは?
  2. よくある拒絶理由のパターン
  3. 対応の基本方針(意見書と補正書)
  4. 拒絶理由対応のコツ
  5. 拒絶理由をチャンスに変える
  6. まとめ

拒絶理由通知とは?

拒絶理由通知とは、出願した特許について、審査官が特許庁での調査結果をもとに 「特許要件を満たしていない」と判断した場合に発行される文書です。正式名称は「拒絶理由通知書」。

出願人は、通知を受けた後に「意見書」や「補正書」を提出して反論・修正を行うことができます。 この対応を通じて審査官との対話が始まり、最終的に登録へと進むケースも多くあります。 特許出願の全体的な流れは、 特許庁特許・実用新案審査基準 にも掲載されています。

よくある拒絶理由のパターン

  • 新規性欠如:すでに同じ技術が公開されている。
    出願前に発表・展示・論文発行された技術や、既存の特許文献と同一内容と判断された場合。
  • 進歩性欠如:従来技術の単なる組み合わせと判断される。
    新しい工夫があっても、審査官が「その組み合わせは容易に思いつく」と考える場合。
  • サポート要件・実施可能要件違反:明細書の記載が不十分で、クレームを裏づける説明が足りない。
    「効果を示すデータが不足している」「発明を再現できる記載がない」などの理由で指摘。
  • クレームの不明確:用語や範囲が曖昧で、発明の範囲が明確でない。
    「〇〇等」「実質的に」「ほぼ〜」といったあいまいな表現は注意が必要。

対応の基本方針(意見書と補正書)

拒絶理由通知を受けても、落ち込む必要はありません。ほとんどの特許出願では、1回以上の拒絶理由通知を経てから登録に至ります。大切なのは、どのように対応するかです。

  • 意見書:審査官の判断に対して、論理的・技術的に反論する文書。引用文献との違いを明確に説明し、「本願発明にはこのような技術的効果がある」と主張します。
  • 補正書:クレーム(特許請求の範囲)や図面、明細書の一部を修正する文書。不必要に広い表現を整理したり、特徴部分を限定して差別化を図るのが基本です。

ただし、補正にはルールがあります。「出願時に明細書に記載されていた範囲内」でしか修正できません。新しい特徴を追加するような補正は“新規事項追加”とみなされ、却下されてしまいます。

対応のコツ

  1. 引用文献の読み込み
    審査官がどの部分を引用して「同じ」「容易」と判断したのかを丁寧に確認します。構成の違いだけでなく、作用効果や使用条件の差を探すことがポイントです。 出願前に実施した 先行技術調査のやり方 を振り返りながら、比較分析を行うと効果的です。
  2. 差異を図で整理する
    文章だけで反論するよりも、図や表(対比表)で整理すると理解されやすくなります。特に複数文献の組み合わせが問題になっている場合に有効です。
  3. 弁理士と戦略的に相談する
    拒絶理由の背景には、審査官の「技術分野の理解」や「引用例の取り方」も影響しています。経験のある弁理士に相談し、どこを補正すべきか、どこを主張で押すべきかを見極めましょう。

拒絶理由をチャンスに変える

拒絶理由通知は、単なる「否定の通知」ではありません。むしろ、審査官がどこに注目しているのかを知る貴重な機会です。通知をもとに明細書を見直せば、発明の本質をより明確にでき、将来の関連出願にも役立ちます。

また、対応の過程で得た気づきを活かして分割出願関連発明の追加出願を行うことで、より広い権利範囲を確保することも可能です。特許出願の初期段階からの流れを振り返りたい方は、 特許の出し方|出願までの5ステップ も併せてご覧ください。

まとめ

拒絶理由通知は、特許審査の中で避けて通れないステップです。重要なのは「拒絶された」という結果ではなく、なぜ指摘されたのかを分析し、どう改善できるかを考える姿勢です。一人で悩まず、早い段階で専門家に相談することで、より確実な登録につながります。

ミレニア弁理士法人では、化学、バイオ、半導体関連の特許出願を主に、機械、電気電子、プログラム関連の特許出願も取り扱っています。先行技術調査、拒絶理由対応、無効化調査も可能です。
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