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意匠って聞いたことある?商品の見た目を守る知財制度

2025年10月2日 | ブログ

特許や商標は聞いたことがあるけれど、“意匠”って何だろう?


そんなふうに思ったことはありませんか?

意匠とは、簡単にいえば 商品の見た目=デザイン を守る権利です。


たとえば、化粧品のボトル、家具の形、スマホアプリの画面デザインなど。
実は、私たちが日常的に目にする多くのデザインが「意匠権」で保護されています。

ところが、企業やスタートアップの現場では、意匠登録の重要性がまだ十分に知られていません。
「技術は特許で守る」「名前は商標で守る」という意識はあっても、その一方で、
「デザインも権利で守れる」ということを知らずに、模倣されて悔しい思いをしてしまうケースも少なくないのです。

1. 意匠権とは何か?

「意匠権」とは、商品のデザイン(形状・模様・色彩、さらにはアプリ画面のUIデザインなど)を保護する権利です。
特許が「技術」を、商標が「名前やブランド」を守るのに対し、意匠は「見た目の魅力」を独占的に利用できるようにします。

例えば、化粧品のボトルやパッケージ、椅子やテーブルのデザイン、消費者の目に映る部分はすべて意匠権の対象となり得ます。

そして、なんとスマートフォンの画面レイアウトも意匠権で守れます。


2. なぜ意匠登録が必要なのか?

中小企業やスタートアップは、技術や品質で勝負することが多いですが、実際の市場では「デザイン性」が売れ行きを左右します。

  • 差別化のために有効
     同じ性能の家電や文具でも、例えば、「デザインの良さ」で選ばれることは少なくありません。
  • コピー商品対策
     意匠登録をしておけば、容器や部品の形状を模倣された場合でも、差し止めや損害賠償請求が可能です。
  • ブランド価値の証明
     「このデザインは自社独自のもの」と公的に証明でき、取引先や顧客からの信頼度が高まります。

👉 技術の保護については「特許と実用新案の違い」の記事でも解説しましたが、意匠登録はそれとは別に「見た目を守る」ための制度です。


3. 意匠登録の手続きと費用感

意匠登録は、特許庁に出願して審査を経ることで成立します。

では、手続きの流れを見てみましょう。

  1. 出願書類の作成
    デザインを示す図面や写真を提出。
  2. 審査
    新規性や独自性があるかを審査。
  3. 登録
    審査に通れば登録され、20年間の独占権が得られます。

費用は出願料(1万6千円程度)+登録料(年間数千円〜)で、特許よりも安価で済みます。中小企業にとって比較的取り組みやすい知財制度です。

なお、手続きの流れや料金の詳細は、特許庁の公式サイトでも確認できます。

👉 特許庁 意匠制度の解説ページ


4. 意匠権の活用事例

  • 化粧品業界
     ある中小企業は、ユニークな形状の美容液ボトルを意匠登録しました。その結果、類似した容器を使った他社商品を防ぎ、ブランドの高級感を維持することに成功しました。
  • 産業機械の部品
     接続部の形状を意匠登録したメーカーは、海外模倣品の流入を防ぐこことができました。部品の形状そのものが差別化要因となった例です。
  • アプリのUIデザイン
     利用者が毎日触れるスマホ画面のレイアウトも意匠登録が可能です。ユーザー体験を差別化し、サービスの独自性を守ることができます。

5. 意匠権を活用しなかった場合のリスク

実際に、デザインを登録していなかったために大きな損害を受けた事例もあります。
人気が出た商品パッケージを模倣され、消費者が混同して競合商品を購入してしまったケースです。
このとき、権利を取っていなかったため泣き寝入りせざるを得ませんでした。意匠登録があれば法的手段で排除できたのです。

「うちは小さい会社大丈夫」と思っていると、商品が売れた瞬間に真似される、という落とし穴があります。

👉 類似の事例は「商標登録をしていなかったために起きたECサイトでのトラブル」の記事とも共通点があります。


6. 特許・商標との違い

  • 特許権:技術的アイデアを保護
  • 商標権:名前やロゴを保護
  • 意匠権:見た目(形状・模様・デザイン)を保護

👉 したがって、技術・名前・デザインをトータルで守ることが、総合的な知財戦略になります。


7. 企業が意匠権を取るメリット

  1. 短期間で登録可能(約6〜8か月)
  2. コストが比較的低い
  3. デザインを守り、販売戦略と直結
  4. さらに、ブランドイメージを維持・強化できる

8. まとめ

意匠権は「商品の魅力」を守る強力な知財ツールです。つまり、特許や商標と組み合わせて戦略的に活用することで、企業の競争力を飛躍的に高めることができます。

早い段階から意匠登録を検討し、模倣対策とブランド強化に役立てることが成功のカギとなります。

ミレニア弁理士法人では、

  • 意匠登録の出願サポート
  • 特許・商標との組み合わせによる知財戦略提案
  • 中小企業・スタートアップ向けの実務支援

を行っております。

💡「デザインを権利で守る」という視点を取り入れることが、ビジネスの成長に直結します。
ぜひお気軽にご相談ください。

📩 お問い合わせはこちらから

参考サイト 

 特許庁:意匠制度