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ポッキーが立体商標に!|形状の保護と立体商標登録のポイント

2025年9月28日 | ブログ

~形も知的財産になる~

はじめに

「ポッキー」が立体商標として登録されていることをご存じでしょうか。
商標といえば、企業名、商品名、ロゴマーク等を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、実は商標の対象はそれだけに限られません。商品そのものの「形状」も、特定の条件を満たせば商標として登録できるのです。これを「立体商標」と呼びます。

今回は、誰もが知っている国民的お菓子「ポッキー」を題材に、立体商標の仕組みや登録の難しさ、そして中小企業でも応用できる可能性について解説していきます。


立体商標とは?

商標法では、商標の対象として「文字」「図形」「記号」「立体的形状」「色彩」「音」などが認められています。その中でも立体商標は、商品の形そのものや、包装の独特な形態を保護する制度です。

たとえば、コカ・コーラの独特な曲線を描くガラス瓶の形状や、ケンタッキー・フライド・チキンのカーネルサンダー像も立体商標として知られています。

ポッキーの場合、特徴は「棒状のビスケットに、途中までチョコレートがコーティングされ、持ち手部分が露出している」という独特のスタイル。この形を見ただけで「あ、ポッキーだ!」と分かる消費者が多いため、立体商標として認められました。


なぜ立体商標は難しいのか?

立体商標の登録は、通常の文字商標に比べて格段にハードルが高いといわれます。その理由は大きく2つあります。

  1. 単なる商品形態と区別がつきにくい
     多くの消費者にとって、商品形状は「機能やデザインの一部」であり、必ずしも「出所表示(どこの会社の商品かを示すもの)」とまでは認識されません。
  2. 機能的形態は独占できない
     例えば「持ちやすさのための形」や「保存のための容器形状」などは、技術的・機能的な必然性に基づくものであり、特定の企業だけが独占するのは不公平です。そのため、純粋に機能的な形は商標登録ができません。

このように、立体商標を取るためには「その形を見ただけで、消費者がそのブランドを思い浮かべる」というレベルにまで到達していなければならないのです。


ポッキーが認められた理由

ポッキーは1966年の発売以来、長年にわたり販売され、テレビCMや雑誌広告など多くのメディアで繰り返し紹介されてきました。その結果、

  • 棒状ビスケット+チョコが途中まで、という独特の構造
  • 広告・販促活動による強力なブランディング
  • 50年以上にわたる圧倒的な販売実績

これらの要素が組み合わさり、「ポッキーの形はポッキーを示すもの」と一般消費者に認知されるに至ったのです。

つまり、単なる「お菓子の形」ではなく、ポッキーというブランドそのものを表すシンボルとして機能していることが証明されました。


中小企業にもチャンスはある?

「うちはポッキーのように国民的に知られているわけじゃないから、立体商標なんて無理では?」と思う方もいるかもしれません。確かに、認知度が低い段階で立体商標を登録するのは難しいです。

しかし、次のような場合には可能性があります。

  • 地域に根ざした商品で、形状が独特なもの
     例:地元名物のお菓子、伝統工芸品の器の形状など
  • 長年同じ形で販売していて、地域で「それといえば〇〇」と認識されているもの
  • 広告や展示会などで積極的に周知活動を行い、独自形状を消費者に浸透させている場合

このように、必ずしも全国規模の知名度がなくても、使用実績や周知性を証明できれば、立体商標の可能性は十分にあります。


他の知的財産との違い

ここで少し整理してみましょう。

  • 特許:技術的なアイデアを保護(有効期限あり)
  • 意匠:デザインや模様などを保護(有効期限あり)
  • 商標:ブランドや出所表示を保護(更新により半永久的)

つまり、商品の形状については「意匠」と「立体商標」の両方で守ることが考えられます。
意匠は新しいデザインを保護する制度であり、登録から一定期間が過ぎると権利は切れます。一方、立体商標はブランドとしての認知がある限り、何度でも更新でき、半永久的に守ることができます。

ポッキーのように「形そのものがブランドの象徴」となっている商品にとっては、立体商標こそが究極の守り方といえるでしょう。


まとめ

ポッキーの立体商標は、「形もブランドの一部として守れる」ということを広く知らしめた好例です。
中小企業にとっても、自社の商品が独特の形を持ち、長年親しまれているのであれば、それを知的財産として保護することを検討する価値はあります。

商標は、単なる名前やロゴだけではありません。商品そのものの「形」「色」「音」までが対象になり得ます。
御社の商品も、もしかすると「形そのものがブランドの証」として守れるかもしれません。

知財をうまく活用することで、競合との差別化を図り、長期的なブランド価値を築くことが可能です。ぜひ一度、専門家にご相談ください。


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