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展示会の知財リスクとは?オープンクローズ戦略と説明者教育

2025年9月14日 | ブログ

はじめに

前回のブログでは、「新規性喪失の例外規定」について取り上げました。

本記事では展示会 知財リスクについて解説します。
特許出願前に自ら発明を公開してしまった場合でも、一定の条件を満たせば出願が無効にならずに済む救済制度です。しかし、この例外規定に頼るのはあくまで「最後の手段」。本来は、公開前に出願することが鉄則です。

今回は、その続きとして、展示会というビジネスの現場でしばしば起こる「うっかり発言、技術の過度な開示」に焦点を当てます。展示会での説明担当者が、来場者に向かってペラペラと話してしまうことが、どれほど大きなリスクにつながるか。さらに、それを防ぐための「オープンクローズ戦略」と「説明者教育」について解説します。

前回の記事「特許の新規性喪失の例外とは?」では、新規性喪失の例外規定を解説しました。今回は、展示会という現場で起こりやすいリスクに焦点を当てます。


1.展示会 知財リスクとは?ビジネスの宝庫に潜む危険

展示会は、新製品や新技術を広くアピールできる絶好の場です。営業や販促にとって大きなチャンスであり、実際にその場で新しい顧客や共同研究のパートナーを獲得することも珍しくありません。

しかし一方で、展示会は「競合他社の調査の場」でもあります。ライバル企業は、自社の技術に関係する展示ブースを注意深く観察し、担当者の発言内容や展示資料から新技術のヒントを得ようとしています。

このとき、もし出願前の技術内容を説明してしまったらどうなるでしょうか?

  • その瞬間に「公知技術」となり、新規性を失う
  • 例外規定を使う場合も、適用条件を満たすための手続きが必要
  • 証拠が不十分なら、後日特許無効審判で争われるリスクが残る

つまり、展示会での「うっかり発言」が、将来の知的財産権を失わせることになりかねないのです。


2.展示会 知財リスクを防ぐオープンクローズ戦略

ここで重要になるのが「オープンクローズ戦略」です。
展示会で全てを公開してしまうのは非常に危険。公開してよい情報(オープン)と、公開すべきでない情報(クローズ)をあらかじめ仕分けしておく必要があります。

オープン情報の例

  • 出願済みの技術の概要
  • 製品の基本的な特徴(ユーザーにアピールすべき強み)
  • 営業的なキャッチコピーや用途例

クローズ情報の例

  • 出願していない技術的特徴
  • 製品性能の数値データ(まだ非公開にしたいもの)
  • 製造条件や材料配合比などのノウハウ
  • 次期開発計画

この線引きを明確にしないまま展示会に臨むと、担当者は来場者の質問に答えるうちにどんどんクローズ情報まで喋ってしまいます。質問者が潜在顧客ならまだしも、競合企業の調査員だった場合、取り返しのつかない情報漏洩につながります。


3.展示会 知財リスクと説明者教育の重要性

実際に、展示会でトラブルが起きる多くの原因は「説明者教育の不足」にあります。

  • 開発者自身が担当する場合、技術を誇らしく語りすぎる
  • 営業担当者が「質問されたら全部答えるのが正しい」と思い込んでいる
  • 「特許出願前かどうか」「どこまでが公開範囲か」の認識がない

こうした状況では、事前にどれほど戦略を立てても、現場で崩れてしまいます。

4.教育のポイント

  • 事前に「FAQ形式」で想定質問と回答例を作成する
  • 「詳細は現在非公開ですが、将来的にはお知らせできます」といった断り文句を練習する
  • 特許出願済みかどうかを明確に伝える社内リストを共有する

これらを徹底することで、現場での不用意な発言を防ぐことができます。

つまり、展示会 知財の課題は、オープンクローズ戦略と説明者教育で回避できます。


5.展示会 知財リスクを回避する仕組みづくり

もちろん、万一のために「新規性喪失の例外規定」を活用する準備は大切です。
しかし、これはあくまで「救済策」であり、根本的な解決策ではありません。

  • 展示会前に出願を済ませておく
  • オープンクローズ戦略を策定しておく
  • 説明者教育を徹底する

この3つを組み合わせることで、リスクを最小化できます。

展示会 知財リスクを回避するには、オープンクローズ戦略が重要です。


6.まとめと注意喚起

展示会はビジネスチャンスであると同時に、知財リスクの宝庫です。
例外規定があるからといって油断してしまうと、せっかくの技術が特許を取れなくなる事態にもなりかねません。

ぜひ、展示会出展を予定している企業は、以下の点を確認してください。

  1. 出願が済んでいるか?
  2. オープン情報とクローズ情報を分けているか?
  3. 説明担当者に教育を行っているか?

これらを整えて初めて、安心して展示会での発表や商談ができます。

展示会 知財リスクを正しく理解しておくことが、企業経営において重要です。


参考リンク


最後に(ご相談ください)

ミレニア弁理士法人では、展示会前の知財戦略チェックや、説明者向けの簡易研修も行っています。
「展示会でうっかり話してしまって大丈夫だろうか?」と不安な企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
早めの準備が、技術とビジネスの未来を守ります。