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官能評価とは? ― 使用感を技術に変換する入口

2025年11月10日 | ブログ

「官能評価」とは、感覚的な“使用感”を定量化する手法です。「さらさら」「まとまり感」「きしみ低減」などの感覚は主観的に見えても、実は再現可能な評価系で裏づけることができます。

たとえば、訓練済みパネリストによるスコアリング、ランダム化・ブラインド試験、統計処理による有意差解析などが挙げられます。このように、評価結果だけでなく、処方・物性・測定方法・測定条件まで一体で示すことで、特許の説得力は大きく高まります。つまり、「どう感じたか」を「どう作ったか」に結びつけることが重要です。

官能評価を特許に活かす3ステップ

では、こうした官能評価をどのように特許に活かせばよいのでしょうか。ポイントは次の3つです。

  1. 因子設計
  2. 数値的指標
  3. 感覚指標

化学を“読める”弁理士が、明細書の説得力を変える

一方で、ここからが本題です。化粧品、毛髪化粧料等の組成物の研究現場では、開発担当者が日々試行錯誤を重ねています。「安定性が崩れた」「ある成分を加えたら“しっとり感”が増した」――そんなちょっとした変化の中に、発明のヒントが隠れています。

しかし、それを特許の言葉に置き換えるのは容易ではありません。弁理士が化学の実験背景を理解していないと、“効果の本質”をつかめず、単なる成分の羅列で終わってしまうからです。

では、化学を理解できる弁理士は何が違うのか。その違いを3つの観点からご紹介します。

1.「なぜ、その効果が出たのか」を読み解ける

  • まず、油剤や界面活性剤などの相互作用を理解して、なぜ「さらさら」になるのかを論理的に説明できます。
  • さらに、安定性試験での変化(分離・凝集)から、成分の相性や界面構造を読み取ることができます。
  • 結果として、科学的に説得力のある効果説明が可能になります。

2.研究データを“特許の骨格”に変えられる

  • 次に、官能評価や測定値の中から、クレーム化できる数値範囲や条件を抽出できます。
  • また、実験ノートを見ただけで「この範囲なら進歩性が立つ」と判断できます。
  • この力こそが、再現性のある明細書を生み出します。

3.開発担当者の思考を理解し、発明を引き出せる

  • そして何より、開発現場とのコミュニケーションが違います。研究者が口にした「ちょっと手触りが違うんですよね」を、特許化のきっかけにできます。
  • 同じ目線で話せるからこそ、打合せの中で新しいクレーム案がその場で生まれるのです。

つまり、化学を理解できる弁理士は、“研究者の言葉”を“特許の言葉”に翻訳できる人。同じデータでも、より広く・より強い権利範囲を導くことができます。

よくある落とし穴

とはいえ、注意すべき点もあります。

  • 感覚語のみの効果主張:数値・条件の裏づけが弱い。
  • 測定条件の不一致:温湿度・塗布量・乾燥条件が曖昧で再現不能。
  • 比較の不備:境界を示す「効かない例」がなく、進歩性で弱くなる。

まとめ ― 使用感を“権利化”する視点

このように、感覚的な特徴も、理論とデータで裏づけられれば強い特許になります。弁理士が実験背景を理解していることが、最終的に広い請求項と安定した権利化につながります。

「この成分配合や官能評価をどう特許に活かせるか?」と思われた方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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